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高反応消石灰の製造装置
粒子充填層を利用した集塵装置
高反応消石灰はごみ焼却炉排煙の浄化剤としてJIS規格消石灰の倍以上の浄化性能があります。市場価格で
はJIS規格品の2倍ですが使用量は半減。従って使用済み浄化剤の処理費は半減します。
○ 消石灰(水酸化カルシウム)は石灰石を焼成して生石灰(酸化カルシウムCaO)とし水和反応(消化)さ
せて製造します。石灰石の焼成に通常使用されている堅型焼成炉では炉内での焼成ガス通気性から、40~
100mmの塊状石灰石を原料としています。石灰石の熱分解温度は800~850℃程度ですが、塊状石灰石の
中心部まで完全に焼成するには焼成温度は1150~1200℃とし、焼成時間は4~5時間を要します。
その結果、焼成された生石灰はかた焼きとなり反応性が低下します。(生石灰に水を加えたとき温度上昇
速度が遅い。比表面積が小さい。)
○ 消石灰から高反応消石灰を製造するためには、かた焼きの生石灰でも消化過程で高活性化する方法もあり
ますが、消石灰の特性は原料となる生石灰の特性により影響を受けるため、高活性な生石灰を消化すること
が確実な方法です。高活性な生石灰を製造するための焼成条件は、石灰石の焼成温度は熱分解温度の近傍
900℃程度で焼成し、かつ焼成時間は極力短時間で焼成を完了することが必要になります。
○ 焼成された微粒子の酸化カルシウムは焼成ガス中のCO2との共存において、温度低下の過程で再炭酸化し
再炭酸化物は焼成装置内の熱回収・機器ダクトなどで付着固化し閉塞トラブルを生ずる問題があり、その対
策が必要になります。
○ 図2のタンカル焼成システムは石灰石原料には粉状のタンカルを使用し、第1段焼成炉に供給され、第1段
焼成炉は気泡流動層で構成され燃料には石炭、石油、RDFが使用可能です。第1段炉から流出した石灰粒子
と燃焼ガスからなる2相熱流体は第2段炉へ流入し旋回噴流層を形成して焼成時間を確保いたします。第2段
炉を流出した2相熱粒体(CaO微粒子と燃焼ガス)は燃焼用空気加熱用ガス・ガスヒーター、及び原料加熱
キルンで熱回収され、2相熱流体から酸化カルシウムを電気集塵機、またはバグフィルターで捕集します。
また減温過程では再炭酸付着防止手段を講じています。
粉状タンカルの新しい需要
○ タンカルの新需要開拓として、タンカル工場に併設容易な小規模なタンカル焼成炉による高反応消石灰製
造装置20t/日を開発しました。焼成燃料には重油、石炭、LNGを使用しています。
〔高反応消石灰の特徴〕
○ 高反応消石灰の市場価格はJIS規格消石灰の2倍程度ですが、排煙浄化剤として使用する場合、排煙中の硫
黄酸化物、塩化水素の吸収性能は2倍以上になり、排煙浄化剤としての使用量は半減します。浄化剤コスト
としては同額になりますが、排煙浄化に使用後の使用済み浄化剤の廃棄物コストは半減します。
○ 高反応消石灰は国内数社で生産され、その特性を表1に示します。各社は塊状の石灰石焼成炉で製造され
た生石灰を原料としてアルコール添加などの消化方法により高反応消石灰を製造しています。消石灰の原料
である生石灰が高活性であれば水和消化のみで高反応消石灰が製造できます。
セテックはタンカルは微粒子であることの特性を活かし、粉体状タンカルの焼成温度を低温化(900℃程
度)し短時間焼成により、高活性酸化カルシウムの製造技術を開発しました。
活性の高い生石灰(生石灰が水と反応すると発熱
温度上昇が速い)を水と反応させて製造する消石灰
は高反応消石灰になります。
消石灰の気体と固体との反応性を示す指標として
単位重量中の消石灰粒子内の細孔表面積の総和であ
る比表面積で評価されています。図1は消石灰の比
表面積と排煙中のSO2除去率との関係の一例です。
JIS規格の比表面積は表1に示すように粒子1g当り
12~15m2ですが、高反応消石灰では40~50m2
です。SO2除去率では2.5~3倍程度に向上していま
す。同じ除去率を得るためには高反応消石灰の使用
量はJIS規格消石灰に対して1/2で良いことになり
ます。
排煙浄化用の消石灰には石灰石焼成用燃料に石炭
を使用しても、石炭中のシリカは反応性向上には有
効に作用します。
高反応消石灰の製造コスト
タンカル原料 5,400 t/年、高反応消石灰製造量 4,000 t/年のケース、製造設備2.0億円、原料コスト 4,000 円/t、高反応消石灰の流通価格は 30,000 円/tになります。